営業組織改革

プレイングマネージャーが営業組織で機能しにくい理由

この記事の要点

「プレイヤーのときはトップセールスだったのに、マネージャーになってからは今ひとつ成果が出ない」。営業の現場で、こうした話はよく聞かれます。本人の努力不足として片づけられがちですが、私は個人の問題ではなく、営業組織の構造の問題だと考えています。

私は2020年に、日本の営業組織に多い「プレイングマネージャー」という形は、いずれ減っていくと書きました。その後も営業組織のコンサルティング支援を重ねてきましたが、この見方は変わっていません。理由は二つあります。売る力とチームで売らせる力は別の専門スキルであること。そして、マネージャーが担うべき業務は、自分の案件を追いながらこなせる量ではないことです。

この記事では、プレイングマネージャーがなぜ生まれ、続けると何が起きるのかを構造として整理したうえで、専任マネージャーが担うべき業務の範囲、専任へ移るための4つの観点、自社で確かめておきたい点を書きます。なお、あらゆる業界のプレイングマネージャーが良くないと言いたいわけではありません。後で触れるように、専任マネージャーを置かなくてもチームが機能する組織もあります。

プレイングマネージャーとは

この記事でいうプレイングマネージャーとは、自分の案件を持ちながら、チームの売上数字に責任を持つマネージャーのことです。

日本の営業組織ではこの形が多く、マネジメントを専門に担う「専任マネージャー」は少ない傾向があります。

2020年8月に、営業マネージャーの形について Twitter でアンケートを取ったことがあります。回答は185名で、そのうち「専任マネージャーがチームを見ている」が43名、「プレイングマネージャーがチームを見ている」が104名でした。この2つの回答だけで比べると、プレイングマネージャーは約7割を占め、専任マネージャーの約2.4倍になります。Twitter での募集なので回答者には偏りがありますが、当時の実感とも合う結果でした。

営業職に限った調査ではありませんが、傍証になる数字もあります。産業能率大学が2021年9月に行った「第6回 上場企業の課長に関する実態調査」(従業員100人以上の上場企業に勤め、部下が1人以上いる課長828人)では、課長の99.5%がプレイヤーとマネジャーを兼務し、業務に占めるプレイヤー業務の比率は平均50.1%でした。そして約半数が、プレイヤーとしての活動がマネジメント業務に支障をきたしていると答えています。

私の感覚でも、企業の中で最も小さい営業ユニットを率いるマネージャーは、プレイングマネージャーである確率がかなり高いと感じています。業務の半分がプレイヤー業務であれば、マネジメントは残った時間で行われることになります。

なぜプレイングマネージャーが生まれるのか

売る力とマネジメントの力は別のスキル

マネージャーがマネジメントをうまくできないまま業績を追うと、「なぜ売れないのか」「もっと頑張れ」といった、根拠のない指示が増えていきます。メンバーの側は、どこを目指して何を改善すれば売れるのかがわからないまま、プレッシャーだけが強まり、疲れ切ってしまいます。営業という仕事がつらいものとして語られがちな背景には、営業マネージャーが適切にマネジメントできていないことが大きく影響していると私は考えています。

こうしたマネージャーが生まれる原因は、企業の側が、マネジメントとプレイヤーとしての成果の上げ方の違いを理解しないまま、トッププレイヤーをとりあえず管理職に登用することにあります。マネジメントスキルは、売るスキルとはまったく別の専門スキルです。「名プレイヤー名監督にあらず」と言われるように、営業として使う頭と、マネージャーとして使う頭は違います。この違いを理解しないまま、トップセールスをそのままマネージャーに充ててしまい、うまく機能しないケースが多いように感じています。

「入学方式」ではなく「卒業方式」の登用

私はこの登用のされ方を、「入学方式」ではなく「卒業方式」と呼んでいます。マネジメントの適性があるから選ばれるのではなく、営業として売れたから営業を卒業してマネージャーになる。入り口の時点で、測られている能力が違います。売る技術は選抜の過程で証明済みですが、チームの数字を計測し、読み、メンバーを動かす技術は、その選抜で一度も問われていません。本人の欠陥ではなく、選び方がそうなっているだけです。

優秀な実務者がそのまま管理職に昇進していく構造は、日本に限った話ではありません。営業職については、これを実データで検証した研究があります。Benson、Li、Shue が131社の営業職のミクロデータを分析した研究(Quarterly Journal of Economics, 2019)では、相対的な営業成績が2倍になると昇進確率は14%ほど上がる一方で、営業成績が高かった人ほど、昇進後のマネージャーとしての成果は低くなる傾向が確認されています。売れる人を選んで管理職にしても、チームの成果にはつながりにくい。これは日本に固有の慣行というより、営業という職種の昇進の仕組みに組み込まれた構造です。

キャリアパスを2つのコースに分ける

本来は、次の2つを分けて考える必要があります。

  • プレイヤーとして自分で売ることを極めるエキスパート
  • マネジメントとして組織で売ることを極めるマネージャー

キャリアパスの設計例として、等級を6段階に分け、1〜3等級は全員共通、4等級から上で「マネージャーコース」と「エキスパートコース」に分かれる形があります。どちらのコースも6等級まで上がることができ、等級の上では同じ高さに並びます。

売る力に秀でた人には、マネジメントコースに進まず、エキスパートコースに進む道が用意されているべきです。人や組織をマネジメントしなくても、自分が売り続けることで給与も評価も上がる仕組みです。マネージャー職は役割の一つであり、エキスパート職より上位にあるものと捉えるべきではありません。エキスパートコースがない会社では、売れる人を処遇する手段が昇格しかないため、卒業方式の登用が続きます。

専任マネージャーの業務

専任マネージャーとして担うべきマネジメント業務を挙げると、次のように多岐にわたります。

  • 月次目標の達成
  • 事業計画の達成
  • KPI設計・予実管理
  • 受失注・プロセス分析
  • 勝ちパターンの創出・型化
  • メンバー育成
  • 人材採用
  • 組織設計
  • モチベーションマネジメント
  • デジタル化(SFA(CRM)その他のシステム活用)

SHOGUN では、営業マネジメントを計測・判断・実行の三つの機能として捉えています。三つの機能の定義と、上の一覧のうちそれぞれにあたる業務は、次の表のとおりです。

機能 定義 該当する業務
計測 営業活動と案件が同じ定義の数字として残る状態をつくること KPI設計・予実管理、デジタル化
判断 その数字から何が起きているかを読み、次の一手を決めること 受失注・プロセス分析、組織設計
実行 決めたことがマネージャーと担当者の実際の動きに変わること 勝ちパターンの型化、メンバー育成、モチベーションマネジメント

月次目標と事業計画の達成は、三つがつながって毎月続いた結果です。

米国では、このうち計測が Sales Operations、実行が Sales Enablement として職種に切り出され、判断がセールスマネージャーの主務として残っています。日本では三つとも切り出されておらず、営業マネージャー個人の職務のまま、プレイヤー業務と兼務されています。

これだけの業務があるため、マネージャーの業務とプレイング業務は、どうしてもトレードオフの関係になります。プレイングマネージャーの方は、この全てをこなしたうえでプレイング業務をしているでしょうか。これらを全うしたうえでプレイヤー業務も務まるのであれば素晴らしいことですが、私はそのようなマネージャーをほとんど見たことがありません。

受失注分析だけでもこれだけの作業がある

例として、上の業務のうち受失注分析だけを取り出してみます。失注データの分析をPDCAに沿って4つのフェーズに分けると、次のような作業になります。

フェーズ1: データ設計(Plan)

考えるべきポイントは次の3つです。

  • どのようなデータを収集すべきか
  • 受失注に影響を与えそうな変数(案件属性)は何か
  • 収集したデータから、どのような示唆が得られそうか(仮説)

具体的には、次のような項目を設計します。

  • 案件属性: 顧客業界、顧客規模、顧客担当者の役職、ニーズの分類、類似商品の購買履歴の有無、トップダウン検討かボトムアップ検討か、リードチャネル、予算の有無、検討時期、競合 など
  • 営業プロセス(フェーズ)の設計
  • 商談発生からのリードタイム
  • Hot/Cold案件(確度)の定義

フェーズ2: データ収集(Do)

考えるべきポイントは次の2つです。

  • データ入力の目的と意義をメンバーに浸透させる
  • データを活用した営業会議や個人レビューを実施し、入力するメリットを設計する

入力の目的は「管理」よりも、メンバーの活動を後押しする「エンパワー」に置きます。メンバーにフィードバックする項目の例は次のとおりです。

  • 活動量
  • 案件数
  • 受注率
  • フェーズ移行率(歩留まり)
  • 受注単価
  • 受注リードタイム
  • パイプライン
  • 案件情報の入力(収集)率

フェーズ3: 失注データ分析(Check)

考えるべきポイントは次の3つです。

  • 失注理由を「商材要因」と「営業要因」に振り分け直す。この作業は必ずマネージャー自身が目で確認して行う
  • どのような属性の案件が失注しやすいか
  • その案件はなぜ失注したのか

具体的には、案件属性ごとに受失注率を算出します。また、商材要因とされている失注理由を営業要因に分類し直し、クロス分析をします。入力されたデータをそのまま信じず、疑ってかかることが大切です。営業要因としては、次のようなものが挙がります。

  • 決裁ルートの攻略
  • ニーズの喚起・魅力の訴求
  • 要件のコントロール
  • 時期
  • 金額

フェーズ4: 施策立案・実行(Action)

考えるべきポイントは次の4つです。

  • ターゲットを変える必要はあるか
  • 営業活動の改善ポイントは何か
  • プロダクトへのフィードバック
  • プライシングの見直し

具体的には、営業要因の中で比率の高い項目について改善策を立案します。例えば次のような対応です。

  • 時期が失注要因になっているなら、顧客と共同で進める計画(Mutual Plan)を作る
  • 決裁ルートが要因なら、バイヤーの相関図を作る
  • 要件が要因なら、懸念への対応(オブジェクションハンドリング)のトークスクリプトを作る

この4つのフェーズは、そのまま計測(データ設計と収集)、判断(分析)、実行(施策の立案と実行)に対応しています。ここまでの分析は相当の工数がかかります。その分、効果は大きいものです。ただ、これをやりながら自分の案件も追うプレイング業務をこなすのは、通常は難しいはずです。

専任マネージャーなしで機能する組織

補足すると、専任マネージャーでなくても十分にチームが機能する構造の企業もまれにあります。

  1. 営業企画やセールスイネーブルメントの部署が強く、最小チーム単位の実績、活動情報、案件情報まで分析し、施策の立案まで行っている企業
  2. 案件や顧客によって営業活動が変わることのないシンプルな営業(販売職に近いイメージ)で、全員が同じやり方で売ることが正解とされる企業

1の企業では、計測と判断の機能を営業企画やセールスイネーブルメントの部署が担っており、マネージャー個人が背負っていません。ただ、営業企画があっても、その業務が資料作成と集計、つまり営業からの依頼仕事で埋まっている会社は少なくありません。そうした会社では、上に挙げたマネジメント業務を、結局は最小チームのマネージャーが担うしかなくなります。

兼務を続けると何が起きるか

マネージャーの役割を時間軸で捉えると、次の2つに分けられます。

  • チームの現在の売上を最大化すること
  • チームの将来の売上を仕込むこと

ところが、プレイングマネージャーにマネジメントスキルがないと、次のようなことが起こります。

  1. 現在の売上が足りないことで、チームを詰めてしまう。「自分なら売れるのに」と思い、部下ができない理由も、どう支援すればよいかもわからず、フラストレーションが溜まる
  2. 「足りない分は自分で売らなければ」と考え、プレイヤーとして動きすぎて、中長期の売上の確保といったマネジメント業務がおろそかになる

こうしてプレイングマネージャーは、組織の短期的な売上を最大化することに集中し、チームの売上が足りない分を自分で作りがちになります。

プレイングマネージャーであり続けると、相対的に、将来の売上の仕込みがおろそかになります。将来の売上の仕込みとは、戦略を描く、組織を作る、人を育てる、施策を練る、分析をする、といった仕事です。もともと優秀なプレイヤーなので、仕込みよりも自分で売るほうが得意であり、今の売上を最大化したいという方向に意識が向きやすくなります。企業の側も、短期的にはそれを求めてしまうことがあります。

その結果、マネジメント業務の優先順位は下がり、プレイヤー業務の比率が上がっていきます。メンバー以上にプレイヤー業務に集中しはじめることさえあります。マネージャー自身も、プレイヤー業務をする以上は、メンバーより「自分のほうが売れる」ところを見せなければ恥ずかしいと感じます。実際、マネージャーが売っていないと、周りから「なぜ自分より売れていない人に指示されなければならないのか」と見られるようになります。

放っておいても直らない循環

この状態には厄介な性質があります。放っておいても直らず、続くほど深くなる循環になっていることです。

マネージャーがプレイングにのめり込む。マネジメントに割ける工数がゼロに近づく。誰も見ていないので SFA(CRM)の運用が回らなくなる。データがそろわないので、誰のどこを直せばよいかが特定できない。特定できないので育成は個々の勘に頼り、部下の育ち方に大きな差が出る。新人が立ち上がらず、現場はさらに人手不足になる。売れない人が辞めていく。残ったマネージャーが、その穴を埋めるためにもっとプレイングに入る。ここで一周します。

この循環の中にいる限り、本人がどれだけ意欲的でも、数字を読み解く力を養う時間は空きません。こうして、いつまでも目先の数字だけを追う、変われない営業組織ができあがっていきます。そのため私は、マネージャーが自ら案件を追って受注までを担うプレイング業務は、原則として避けるべきだと考えています。これは、そのプレイングマネージャー個人が悪いという話ではなく、企業としての構造的な要因があります。

人を増やしても解決しない

こうした状態になると、多くの企業は、生産性の低さを営業の人数を増やすことで補えると考えがちです。しかし、それは最善の策ではありません。国立社会保障・人口問題研究所の推計(令和5年推計、出生中位・死亡中位)では、15〜64歳の生産年齢人口は2020年の7,509万人から2040年には6,213万人へ、約17%減ります。営業の人数を増やし続けることは難しくなります。一人あたりの生産性を上げなければ、根本的な解決にはなりません。

20世紀を代表する経営者とされるゼネラル・エレクトリックのジャック・ウェルチも、「環境の変化に対応できないものは淘汰される」という趣旨の発言を数多く残しています。変わることができず、人を増やすことでしか売上を上げられない組織は、労働集約的になり、規模だけが大きくなっていきます。

プレイングマネージャーが常態化していることは、変われない組織の特徴の一つです。ここを変えていかなければ、強い営業組織にはなりにくいと考えています。

抜け出すための4つの観点

専任マネージャーに移っていくためには、次の4つの観点が重要だと考えています。それぞれに、自社で確かめておきたい点を添えます。

1. 職務範囲を明確に定義する

プレイヤーとマネージャーの役割を分け、それぞれの職務範囲を明確に定義します。マネージャーの役割を「売る人」から「売らせる人」へ書き換えることが出発点です。

マネージャーが案件を一切持ってはいけないというわけではありません。例えば、現場の感覚を失わないために案件を1〜2件だけ持っておく、という程度であれば問題はないと考えています。

確かめておきたいのは、マネージャーの職務として、チームの数字以外に何が明記されているかです。先に挙げた業務の一覧のうち、KPI設計・予実管理、受失注・プロセス分析、メンバー育成が職務として書かれておらず、暗黙の期待にとどまっているなら、プレイング業務が優先されるのは当然の帰結です。あわせて、マネージャー自身の商談時間が業務全体に占める比率を一度測っておくと、現状がはっきりします。

2. マネージャーは上位の役割ではない

マネージャーとプレイヤーは役割が違うだけであり、上下関係ではありません。このことについて、組織の中で認識をそろえておく必要があります。先に触れたキャリアパスの2つのコースは、この認識を制度として形にしたものです。

確かめておきたいのは、等級と報酬の設計です。エキスパートとしての最上位の等級が、マネージャーの最上位と同じ高さにあるか。売る力に秀でた人が、マネージャーにならずに評価と給与を上げていく道があるか。この道がなければ、売れる人は昇格するしかなく、卒業方式の登用が続きます。

3. マネージャーはただの管理者にならない

ここまで、プレイヤー業務をしすぎてはいけないと書いてきましたが、反対に、ただの管理者になってしまうのもよくありません。バランスよく現場に介入することが大切です。例えば、メンバーの商談に同席する、案件のレビューをする、といった関わり方です。自分が案件を持たなくても、現場をよく知ろうとする意識と活動は欠かせません。

案件のレビューには、共通の観点があると進めやすくなります。米国の法人営業で広く使われている MEDDIC はその一例で、Metrics(顧客が得る定量的な効果)、Economic Buyer(予算の決裁者)、Decision Criteria(意思決定の基準)、Decision Process(意思決定のプロセス)、Identify Pain(顧客の課題の特定)、Champion(顧客社内の推進者)の6つの要素で商談の状態を確認します。こうした観点を使えば、マネージャーは自分で案件を持たなくても、メンバーの商談のどこに手当てが必要かを具体的に示すことができます。

確かめておきたいのは、同席とレビューが「時間があるときにやること」になっていないかです。週に何件の案件を、どの観点でレビューするかが決まっていれば、マネージャーは案件を手放しても現場から離れずに済みます。

4. マネジメントの専門性を高める

営業のときは、目の前のお客様を口説けば成果につながりました。マネージャーになると、戦略・施策・実行を通じて、より幅広いスキルが必要になります。例えば次のようなものです。

  • 数字を分析して何を読み解くのか。市場はどうなっているのか。自社のポジショニングはどこか。どのセグメントを狙うべきか
  • メンバーとコミュニケーションを取り、育成するために、物事を正しく言語化し、構造化するロジカルシンキング

これらができれば、自分が案件を持っていなくても現場を捉え続けることができます。そして正しい意思決定のもとで組織を変えながら、中長期の売上を作っていけるマネージャーになれるはずです。

本人の努力はもちろん必要ですが、企業としても、こうしたスキルを磨ける環境をつくって支えることが欠かせません。ここで難しいのは、教える人の問題です。上司も同じ経路で昇進してきた人であることが多く、社内の誰も持っていない技術は、社内では再生産できません。座学の研修だけでは、自社の数字と案件で判断する訓練は起きないため、進行中の案件と今週の数字を材料に、判断のたびに根拠を確かめる形で身につけていく必要があります。

確かめておきたいのは、マネージャーの読みと判断を、誰が、どの場で見ているかです。週次の会議が着地の確認だけで終わり、なぜそうなったかを問う人がいないなら、専門性が育つ場は社内にありません。

権限がなくてもできること

ここまで書いた内容は、職務の定義にしても等級の設計にしても、経営や事業責任者の権限がないと動かせないものがほとんどです。ただ、いま現場でプレイングマネージャーをしている方にも、権限がなくてもできることが一つあります。

営業会議が着地の確認で終わること自体は、悪いことではありません。予測して、約束する。それはその場の正しい目的です。ただ、その予測が当たっていたかどうかを振り返っている組織は、思ったより多くありません。

自分のチームの会議で、先月の予測と実績のズレを一つだけ取り上げて、なぜズレたのかを聞いてみる。全部でなくてよく、毎回一つで十分です。答えられないことに気づいた瞬間から、マネージャーはデータを見に行くようになります。メンバーも、次はそれを聞かれると分かって数字を持ってくるようになります。上を動かす権限はなくても、自分の会議のアジェンダを1行増やす権限は、たいていの管理職が持っています。

営業マネージャーという専門職

日本の営業を良くしていくうえで、要になるのは営業マネージャーだと私は考えています。プレイヤーとはまったく違う角度から、営業マネージャーに求められる専門性を定義し、それを教育できる仕組みをつくること。これは、私が個人としても取り組みたいと考えているテーマです。

その専門性の中身は、計測・判断・実行を個人の力量ではなく仕組みとして設計し、毎週の数字と案件の中で定着させることだと考えています。プレイングマネージャーが機能しにくいのは、この三つが職務として置かれないまま、売れた人に「残った時間で」任されているからです。

専任マネージャーになるには何をすればよいのかが明確でない方や、営業マネージャーを育てる仕組みがまだ整っていない企業にとって、この記事で挙げた業務の一覧と4つの観点が、現状を見直すきっかけになればと思います。

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